インターセックス

インターセックス

エンブリオ

エンブリオ

帚木蓬生(ははきぎ・ほうせい)
「 患者に人気の天才産婦人科医・岸川は、その裏で異常な試みを進めていた。男性の妊娠実験、培養した胎児からの臓器移植…彼が目指すものは何なのか。医療の極限を描く問題作。 」(AMAZON)が『エンブリオ』で、『インターセックス』はその後の話をインターセックス(男女どちらでもない性器官をもっていること)と絡めて描いた医療サスペンス。
続き物と知らずに後編にあたる『インターセックス』から読んだけど、こちらから読み始めても十分話が分かるし、単体でも読み応えのある1冊。殺人事件の謎解きは二の次で、生と性を巡る医療の実態をかいま見ることができてよかった。
エンブリオ』は…とにかくインモラル。これは遠くない未来の姿なのかもしれないと思うと怖くなった。
どこまで人間が手出しをしていいものなのか。人の命は人が干渉していいものなのか…読み終わった後、色々と考えさせられた。
作者の帚木蓬生は医者なので、タイムリーな医療過誤裁判の話が出てくるなどリアリティがあり、でも分かりやすい。2冊とも一気に読んでしまいました。


東京島

東京島

「32 人が流れ着いた太平洋の涯の島に、女は清子ひとりだけ。いつまで待っても、無人島に助けの船は来ず…」(AMAZON)
シチュエーションが面白そうだと思って読んでみた。
…読み進めるのが苦痛なくらい、面白くなかった…がっかり;
無人島生活で人はもっと変わるんじゃないか。予定調和というかファンタジーというか、想像の域を出ていないのが残念。途中で飽きちゃったのか、終わりは尻すぼみだし、なんだかもったいない。
調べてみたら、戦時中に似たような事件があったとか。「事実は小説よりも奇なり」というけど、こっちの方がよっぽど面白かった。
アナタハン島の事件
http://www.nazoo.org/distress/anatahan.htm


無痛

無痛

「神戸の住宅地での一家四人殺害事件。遺留品は多かったが、警察は犯人像を絞れない。八カ月後、精神障害児童施設の十四歳の少女が自分が犯人だと告白した、が…。」(AMAZON)
顔を見るだけで病気を当ててしまう医者、生まれつき痛みを感じない男。面白い素材があるのに、扱いきれていない。出てくる女はどうしようもない○○ばっかり。作者は現役の医者だけど、精神障害について知識が浅いのか、おやっ?と思う箇所がしばしば。読み終わってうーむ、欲求不満になってしまった…残念;


P.S.アイラヴユー〔小学館文庫〕

P.S.アイラヴユー〔小学館文庫〕

結婚7年目、子供のいない夫婦。予期しない病気で夫がなくなり、悲しみにくれる妻。ある日、彼女の元に1通の手紙が届き…。
愛情溢れる夫の行動に思わず涙がこぼれてしまった。いつ死んでもいいように、遺書を書いたり身の回りを整理しておくのはいいことかもしれない。それから、当たり前に過ぎていく日々を愛する人達と大事に生きること。いなくなってからでは遅いと思うのに、ついつい優しくできなかったりするんだよなぁ…反省;
作者はアイルランド元首相の娘で、今作が処女作だとか。確かにラストで○○なのは微妙なところだったけど、20代後半女性の日常がいきいきと描かれていてフレッシュだった。
翻訳は林真理子。多少手を入れたそうなんだけど、原作とどのくらい違うものなのか読み比べてみたいなぁ。
映画化もされたとか。映画はこのままの話なのかな?