岡崎京子関係:
ぼくたちは何だかすべて忘れてしまうね『ぼくたちは何だかすべて忘れてしまうね』岡崎京子
平坦な戦場でぼくらが生き延びること―岡崎京子論『平坦な戦場でぼくらが生き延びること・岡崎京子論』椹木野衣(さわらぎ・のい)
岡崎京子の短編小説集と、アートディレクター椹木野衣による岡崎京子論を読んだ。
短編小説は漫画同様、ドライなようでひりひりと痛くなるような小説だった。彼女の漫画が好きな人にはオススメ。 この本を読んだら、絵だけでなく文章でも自分の世界が表現できる稀な才能の持ち主だということがよく分かった。養生してください。復帰を待っています。
論文は「これが言いたかった!」と思う部分も多々あるけれど、著者自身の思い入れが色濃く出ている部分もあってちょっと物足りなかったかな…。機会があったらどうぞ。
岡崎京子ファンサイト http://www.asahi-net.or.jp/~aq4j-hsn/okazaki/index.html
椹木野衣インタビュー集 http://www.tinami.com/x/interview/01/


夜啼きの森『夜啼きの森』岩井志麻子
津山事件を題材にした小説で、5人の村人から見た事件を描いたもの。閉塞した村の様子や村人の鬱積した思いなどはとてもよく描けているけれど、どうも散漫な印象で、誰にも感情移入できない。それと、後半犯人が事件を起こすまでの描写が資料をそのまま書いているような感じで、せっかく村の情景がうまく描けているのに尻窄みになっているのがとても残念。あまりにも有名な事件だけに、横溝正史の『八ツ墓村』や島田荘司の『龍臥亭事件』のようにうまく料理するのは難しいなぁ。
この事件を扱っている小説は、他に西村望の『丑三つの村』があるらしい。探して読んでみよう。
(※ドキュメントでは松本清張『ミステリーの系譜』、筑波昭『津山三十人殺し』がある。それと、漫画だけど山岸涼子の『負の暗示』はとてもよく出来ていて恐い。)