『陰日向に咲く』劇団ひとり

短編集。思いも寄らない展開だったり、それぞれの話が奇妙な縁でつながっていたりするんだけど、奇抜すぎずちょうどいい頃合いの驚き具合。しかも泣かされた。今時病んでいる人を扱った小説は多いけれど、明らかに軌道を外れているおかしな人を描く方が簡単かもしれない。この本に登場するのはごく普通の人達ばかり。どの人もリアルで身近に感じる。ごく普通を描いてさりげない、でも感心するような表現がでてきたりして、文章のはしばしに久し振りに文学の匂いを感じた。この人は天才かも。
惜しむらくは、本名で書いてたらもっとよかったなぁ。もったいない。